英国の音 Celestion SL-600(2)
Ditton 66 (s)

私が最初にCelestionのスピーカーに出会ったのは御殿山にお住まいのアレンジャーでジャズピアニストのO先生の仕事場でのことだった。1970年代も終わり頃の話。オープンリールのテープでアレンジのデモを聴いたあと、お寿司(ご馳走さまでした)をいただきながら、仕事部屋で先生お気に入りのLPに針を落としてもらう機会があった。ピアノと反対側の壁を背に3ウエイのトールボーイ型Ditton 66が置かれていた。低域は30cmウーファーにドロンコーン(英国ではスレーブバスと呼ぶ)を組み込んだスピーカーだ。クインシー・ジョーンズの「Smackwater Jack」(A&M 1971年)の盤が廻ると、スタジオで聴くような厚みのある音が出てビックリした覚えがある。後年、建て替わったO先生のお宅にお邪魔した時、新しい仕事場にはCelestionのSL-700が置かれていた。

Smackwater Jack

勤めていた同じ洋楽部の2年先輩の同僚二人ともが、Celestionスピーカーの愛用者だった。一人は小型のUL-6。もう一人がSL-6だった。私に熱心にCelestionをすすめてくれた先輩はSL-6のオーナーだった。

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英国の音 Original B&W 801
B&W801

CDの発売(1982年)に先駆けてデジダル録音(PCM録音)が始まると、モニタースピーカーの世界も様変わりし始める。JBLを代表とする米国製スピーカの牙城、それもモニタースピーカーで突き崩したのが英国のB&Wだった。
クラシックは早くから次代のレパートリー(曲目)の収録をデジタル録音で開始していた。問題の一つはその音を評価するスピーカーだった。初期のPCM録音は超高域の処理が苦手で、不要な帯域の高音を上手くコントロールするのが難題だった。アナログならレベルが高過ぎる場合はテープが自動的に飽和して潰れた音になり、一種のリミッター効果が働く。デジタル録音にはそれが無く、減衰されないまま、超高音が再生された場合は機器や人間の耳に障害を起こしかねない。
広帯域で位相特性に優れて、そんな異常な音をチェックできるモニタースピーカーとして注目を浴びたのが英国Bowers & Wilkins社の801。ダイナミックレンジの広い音にもレスポンス良く追従するスピーカーでもあった。テープノイズという物が無いデジタル録音は、アンプの残留ノイズが顔を出すような極小レベルから、コーン紙が破けかねない極大レベルまで易々と録音・再生してしまう。
ある程度の音量なら高域から低音まで見事に再生するJBLモニターも小音量にはからっきし弱い。小音量ではウーハーの受け持ち帯域が追従せず、低域の欠けた音になることが往々にしてある。これに対してB&W 801は小音量から大音量まで滑らかに追従してくれる。同じ38cmウーハーにもかかわらず耐久性と応答性がピカイチのケブラーコーンに軍配があがった。



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英国の音 Celestion SL-600(1)
Celestion SL-600

我が家のPMA S1も年代ものだけど、スピーカーのCelestion SL-600はもっと年を重ねている。小型スピーカーの傑作といわれるSL-6が世に出たのは1982年。同じスピーカー・ユニットを使い、エンクロージャに素材革新ともいえる軽量高剛性のジュラルミンハニカム材を用いたモデルがSL-600。発売は2年後の1984年。渋谷パルコにあったオーディオショップでSL-600を中古で購入したのはそれから7年程経った1990年代のはじめ。購入から数えても、早いものですでに20年の月日がたっている。
じつは7〜8年前、SL-600に変わる小形スピーカーを探して秋葉原を巡ったことがある。しかしピンとくる物に出会わなかった。サイズ的に最有力候補だった同じ英国のB&W 805はセレッションに比べてユニットのマグネットが弱い(?)印象を持った。自宅ではリスニングポジションが比較的近いのでユニットの素性がストレートに耳に届いてしまう。
もともとセレッションは同じスピーカーメーカーでも楽器用スピーカーではトップメーカー。マーシャルのギーターアンプのスピーカはセレッション製だし、フェンダーのギーターアンプもモデルによってはセレッションを使っている。強力なマグネットがミュージシャンの信頼を勝ち得ているのだ。一緒に飾ってあったNautilus 805は少しクオリティが高いのはわかったが、価格も高いので触手が動くものではなかった。

実は同じくらいのサイズのスピーカーで興味のあったものがもう一つ。北イタリアのクレモナに工房があるSonus faber社の小型モデルConcertinoだ。当時クラシック担当だった会社の同僚に依頼されてスピーカー選択からセットアップまでを手伝った。ConcertinoはDenonのプイメインPMA-S10との組み合わせで、エネルギッシュな音を聴かせてくれた。良いのは認めるが私のテイストではない。これでビートルズの「Something」やAbby Roadの中の「Golden Slumbers組曲」を聴くことなんて考えられない。華やか過ぎるのだ。
結局自宅スピーカーのリプレースは無期延期。iTunesでプレイリストを作って、それをCD-Rに焼いて、ポータブルCDプレーヤーとイヤフォーンで通勤途中で聴くというのがメインになっていたからだ。

Abby_Road

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