U2のアルバム無料配信はなにをもたらすのか
U2ステージ写真2009
U2 performing at Gelsenkirchen Germany, August 3rd 2009 (Wikipedia)

U2は新作アルバム『Songs of Innocence』をiTunesで独占公開し、期間限定(9/10-10/13)で無料配信している。
日本時間の9月10日未明に行われたアップルのiPhone6及びApple Watch発表会で、ミュージックゲストで登場し演奏を披露したU2が、突如、最新アルバム「Songs of Innocence」をiTunesストアで5週間、無料配信することを発表した。ちなみにCDについては独占配信が終る10月14日からユニヴァーサル傘下のアイランドから発売される。なお欧米ではiTunes RadioとBeets Musicでストリーミング公開される。
無料配信はiTunesの発行済5億個のアカウント、119カ国の利用者が対象。iTunesの機能を使って利用者のiCloudアカウントに購入済みファイルとして事前にセットされる。音楽業界誌Billboardによれば、アメリカだけで配信から24時間で20万回ダウンロードされたという。興味の無い人にも了解無しに送り届けてしまうやり方に、一部では『押し売りまがい』、『音楽スパム』さらにU2に対して『Appleのやとわれバンド』など批判的なコメントも見られる。

Song of Innocence LP
"Song of Innocence LP" cover artwork


U2のアルバム無料配信は音楽ファンだけでなく業界関係者にとってもショックだったに違いない。間違いなく今後のミュージックビジネスに大きな影響を与える出来事。音楽シーンでトップにの位置にあるU2クラスのアーティストが、新作アルバムを無料配信してしまったことは大きい。いかに期間限定、PRやキャンペーンのためといっても配信先が全世界、しかも半端な数ではないiTunesユーザー(ID:5億個)。一般ユーザーの音源無料へ期待感はマイナーアーチストだけでなく、一挙にメガアーチストのレベルにまで広がってしまう危険性を持っている。

<U2 - Universal Music - Apple>
この計画に合意し、対価を受取ったのは世界最大のレコード会社ユニバーサル。対価を支払い、キャンペーンを実行したのは、世界最大のレコード小売商でもあるアップル。(2013年、iTunes Music Storeは米国国内のデジタル売上の7割を占め、約1,000億円をレコードレーベルにもたらしている。)そして対価を受け取り、PRに協力した巨大バンドU2。この三者は音楽ビジネスに何をもたらそうとしているのか。
Universal Music Groupの代表者ルシアン・グレンジ(Lucian Grainge)。そして2013年からU2のマネージャーを努める、ガイ・オセアリー(Guy Oseary)。アップルのティム・クックCEOには最近アップルに入社した、元Interscope-Geffen-A&M Records会長ジミー・アイオヴィン(Jimmy Iovine)が後ろ盾。U2のマネージャー、ガイ・オセアリーはマドンナのマネージャー兼ビジネス・パートナーでもあり、ワーナーとの契約が切れた途端にマドンナとライブ・ネイションとの契約を纏めるなど生き馬の目を抜く敏腕の音楽プロデューサー。ジミー・アイオヴィンもレディーガガを育てた敏腕会社経営者。フィジカル(CD)や単純なファイルダウンロードに見切りをつけて、三者とも別なことで利益を上げる算段をしているのか。それとも単にアップルが突っ走ってU2が金を貰っただけなのか???。よくわからない。
U2は痩せても枯れてもロックのメインストリームを歩むアーチスト。ロックやロックンロールの要素に不可欠な『カウンターカルチャー(60年代に始まった既成概念を破る若者文化)』の色彩を無くして欲しくない。ロックやロックンロールは与えられて聴く音楽なのか?。ビジネス色ばかりでは、大きな疑問が残る。

U2 and Apple iTunes

<「Songs of Innocence」が入手できない>
U2の作品では「War」(1983年)、「Joshua Tree」(1987年)の2作品が私のiTunesライブラリーに入っている。この他DVD「Rattle and Hum」(1988年)も持っている。「Songs of Innocence」はロッシー(非可逆圧縮)のAAC音源だがライブラリーに加えることにした。本作はアーチストの個人的な体験やプライベートヒストリーを元に書かれた作品が多いという。ゆっくり楽しむのはこれからだ。
「アップルからメールも来たし、すでにライブラリに入っている?」「どこにもいない。購入済みでダウンロードできない!」という方にアドバイス。
iTunesを起動し、画面左のiTunes Storeのアイコンをクリック。まずお店のTop画面に行く。Top画面の右側に[ナビリンク]の項目があり、上から3段目に『購入済み』の文字列がある。そこをクリックすると購入済みだが、インストールしていないアルバムや曲名が並ぶ。「Songs of Innocence」もそこにあるハズ。アルバムのジャケット絵柄の右上にある「クラウドマーク」をクリックするとダウンロードが始まる。ファイルサイズが小さいので全曲が数分で落ちてくる。

U2アルバムダウンロード

<William Blake>
アルバム・タイトル「Songs of Innocence」はロンドン生まれの詩人、版画家のウィリアム・ブレイク(1757-1827)の詩集『無垢と経験の歌』(Songs of Innocence and of Experience)にちなんで付けられた。ちなみにブレイクは英国を代表する詩人で、2012年ロンドン・オリンピックの開会式のアトラクションは彼の詩に音楽が付けられた聖歌「エルサレム」がコンセプトに用いられた。作中の「緑なす豊潤なイングランドの大地」「暗い悪魔の工場」「炎の戦車」という言葉をキーワードに開会式の演技が繰り広げられた。(参考:Wikipedia)
William Blakeイラスト
Blake's manuscripts
 


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