「Led Zeppelin I(Deluxe Edition)」をハイレゾで聴く
Zep Remastered DX 2014

6月4日、HDtracksからクーポン(10%割引)がメールで届いた。メールの画面からHDtracksのサイトに飛び、発売になったばかりの「Led Zeppelin I(DELUXE EDITION)」をダウンロード購入した。
「レッド・ツェッペリン 2014リマスター」3作品から『I』を選択した理由をまず述べておこう。
1) レッド・ツェッペリン作品の中で最古のマスター(1968年録音)
45年も経った1/4インチのアナログマスターが本当にハイレゾ・リマスタリングに耐えらる状態だったか。ジミー・ペイジはスタジオ9作品のオリジナルマスターは奇跡的な保存状態だったと述べているが、残りマスターの状態を占う意味でも真っ先に聴きたい。

Led Zeppelin 03 (S)

2) ツェッペリン・サウンドの原点(オリンピック・スタジオ)
1968年11月録音。オリンピック・スタジオは当時アビーロードと並ぶ英国のトップスタジオだった。後に”HELIOS”の名前で販売されたカスタムメイドのミキシング・コンソールはその独特のサウンド(中高域)で人気が高かった。ツェッペリンが頻繁に利用したストーンズの録音車も、ジミー・ペイジが好んで使ったアイランド・スタジオも実は調整卓は”HELIOS”ミキシング・コンソールを使っている。
録音を担当したエンジニア、グリン・ジョーンズ(Glyn Johns)も原点の一つ。ストーンズ「Get Yar YaーYa's Out」や「Let It Bleed」、フェイセス「馬の耳に念仏」、フー「Who's Next」、クラプトン「Slowhand」など最も英国サウンドらしい音を録るミキサー。彼はこの作業が終った翌年1月からビートルズの「Get Back」セッションに携わり一躍時の人となる。
『II』以降の録音はジミヘンのエレクトリック・レディランドのエンジニア、エディ・クレーマー(Edwin Kramer)が継ぎ、さらにエディとグリン両者の指導を受けたグリンの弟、アンディ・ジョーンズ(Andy Johns)がツェッペリン・サウンドを継承していく。ちなみにジミー・ペイジはこのスタジオでグリンからマルチ録音の手ほどきを受けている。

Page and Glyn Johns
Page with Glyn Johns at Olympic Studios 1968

3) コンパニオン: 「パリ・ライブ(1969年)」
コンパニオン・オーディオは1969年10月、パリのオリンピア劇場のライブ(70分強をほぼフル収録)。『II』と『III』のコンパニオンはスタジオ録音のアウトテイクや別ミックス、未発表トラックなどで構成している。ライブが付くのは今回『I』のみ。このパリ・ライブは丁度『II』の発売にタイミングを合わせたコンサート。世界を震撼させたレッド・ツェッペリンがその全貌を見せた瞬間だ。若きロバート・プラントのハイトーン・ボイス。弾きまくるジミー・ペイジ。最も勢いのある時期の幻のライブ録音。2007年12月(ツェッペリン再結成コンサートとほぼ同時期)にマスターが発見されファンの間で話題になった。放送録音のモノラル音源のため48kHz/24bit。発掘の経緯は後述。

<ダウンロード>

HDtracks(米国)は「レッド・ツェッペリン 2014リマスター」のコーナーを特設(当たりまえか(^_^;)。いつもの地域制限はかかっていない。日本からストレートにアクセスして購入可能。ただし<Album Only>で曲ごとの分割購入は不可。3作品とも同一価格で、単品もの「Remastered」は$19.98、コンパニオンを同梱した「Deluxe Edition」は$29.98となっている。
クーポン適用の10%引きで$26.98。PayPal支払で2,866円だった。アマゾン輸入盤CDの「DELUXE EDITION」が3,024円なので、まあこんなものでしょう。
本編44分55秒は96kHz/24bit、ライブ71分は48kHz/24bit(1曲のみ44.1kHz/24bit)。合計17曲 1時56分 容量2.85GBが約7分半たらずで落ちてきた。早いス。

Led Zeppelin I (S)
Led Zeppelin I (Deluxe Edition)

<インプレッション>
■ 本編
「レッド・ツェッペリン I」のオリジナルCDの音に大きな不満は無かったが、今回のリマスタリングで中高域に張りが出て全体的に音がシャキッとした感じを受ける。オリンピック・スタジオの”HELIOS”コンソールの特徴がクリアーに出たように思う。同時に低域が少しだけ主張を強めて帯域の広さを強調する。ペイジ好みのバランスだ。ジョン・ディヴィス(メトロポリス・マスタリング)の丁寧な仕事ぶりが見て取れる。2曲目の「Baby I'm Gonna Leave You」のように生のギターをフィーチャーし、強弱を明確に付けた曲ではハイレゾのダイナミックレンジの広さのメリットが感じられる。心配だったマスターテープのよれなどの劣化によるの影響はヘッドフォーンで注意深く聴いても感じられない。ホッと一安心。

Audirvana Plus & Zeppelin DX

■ コンパニオン「パリ・ライブ」
1969年10月10日パリのオリンピア劇場での公演をフランスのFMバラエティ番組「Musicorama」(1957-1974)のため収録したマスターが音源。ツェッペリンの短いユーロツアーはこの番組収録がらみで組まれたという。1969年11月2日、Europe 1で放送されたのち長らくマスター不明となっていたが、35年後に発見され、2007年12月にEurope 2で再放送。司会のDJ入りのエアチェックが海賊盤として出回る。偶然日本を訪れていたジミー・ペイジは行きつけの西新宿のブートレグ専門店でその海賊盤「One Night Stand In Paris」を入手。そこからEurope 1のマスターの存在を突き止める。1960年代末の欧州のFM放送はモノラル。マスターもモノミックス。幸いなことにコンプレッサーを厳しくかけた放送用テープではなくモノミックスの元マスターが入手できたようだ。その時代にはコンサートの客席に向けてのFOH(Front Of House)ミキサーの出力を分割して番組収録用に渡す事は至難の業。放送局は自前でマイクをセット(セッテイングは必要最小限)して、放送局のエンジニアが独自にミキシングを行っている。音質は奇跡的に良い。マイク本数が限られている割には、モノラルだが各パートの音はクリアー。位相調整をマスタリングでわずかに行ったためか、ヘッドフォンで聴てもモノ音場の狭さが無い。ジミー・ペイジご自慢のコンパニオン・オーディオに仕上がった。

One Night Stand in Paris
One Night Stand in Paris

<レコーディング>
1968年9月から10月にかけてロンドンのオリンピック・スタジオで録音は行われた。ペイジはアルバムの構成と楽曲の準備をきっちり済ませて録音に臨んでいる。直前の1968年9月にヤードバーズ名義で行なわなければならなかったスカンジラビア・ツアーで何を演るかが明確になったと言う。ペイジによればスタジオ・スケジュールはわずか1〜2週間。ミックスダウンも入れて実質36時間。無駄なスタジオワークが殆どなかったためコンパニオンの候補がライブ音源に絞られたとも言える。実はこのデビュー・アルバム、ジミー・ペイジとマネージャーのピーター・グラントの二人がお金を出し合って録音した自主録音だった。まだアトランティック・レコードとの契約が終わっていなかったからだ。スタジオ代は当時のお金で1,782ポンド(日本円換算約350万円相当??)だったという。一銭も無駄に出来なかった訳だ。
「レッド・ツェッペリン I」はロックアーチストがステレオ盤限定で発売する第1号としても話題となった。当時はステレオ盤・モノ盤の併売が普通だったが、ジミー・ペイジにとってモノ・ミックスを作る費用も惜しかったのかも。
 
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