レッド・ツェッペリン「祭典の日」をBlu-rayでみる
Celebration Day title

出遅れてしまったがレッド・ツェッペリン「祭典の日 (Celebration Day)」[Deluxe Edition]を購入した。Pioneer BDP-160が加わり、我が家の貧弱なオーディオ&ビジュアル環境でもようやくブルーレイが見られるようになったからだ。 購入したのは、リハーサルを固定カメラで撮ったオマケDVDが付く、2CD+Blu-Ray+DVD 4枚入りデラックス版。完成度の高い四面観音開きのデジパック・パッケージに入ってくる。品物が届くのとほぼ同時にグラミー賞の発表があり、ライブアルバム「Celebration Day」(2CDの部分)は第56回グラミー賞「最優秀ロック・アルバム賞(Best Rock Album)」を受賞した。

<Celebration Day>
コンサート自体は6年も前に終っている。2007年12月10日ロンドン、O2(オーツー)アリーナで行われた、アトランティック・レコード創設者アーメット・アーティガン(2006年12月に死去)の追悼チャリティ・コンサート。最後にステージに上がったのがレッド・ツェッペリン。
『解散後、実質的に初めての一夜だけの再結成』というニュースが流れたため、世界中からチケットの購入希望が殺到。インターネットの予約サイトのアクセスは2000万回に達した。抽選で1万8千人の幸運な観客が選ばれ、50カ国から駆けつけたファンに見守られて伝説のコンサートは開催された。

Zep Capture 01b

ライブでのパフォーマンスは劇場向けコンサート映画「祭典の日(原題:Celebration Day)」(2012年10月各国公開)として作品化され、BDまたはDVDとCD2枚組サウンドトラックという形で発売された。

<再結成コンサートの作品化>
レッド・ツェッペリンはジョン・ボーナムの突然の死(1980年)でバンド生命が断たれた。ボンゾの代わりのドラマーは誰も居ないという理由で。27年後、オリジナルメンバー3人は息子のジェイソン・ボーナム(彼もドラマーで愛称もボンゾ)のサポートを得てステージに上がる。彼なら文句言う人はいない。この日のためにメンバー3人とジェイソンは6週間に及ぶリハーサルを繰り返し、多くの人を感動させるパフォーマンスを聴かせた。

Zep Capture 03

コンサートが終ってから作品公開とBD/DVD/CD/LPの発売までなぜ5年もかかったのか。理由は単純。当初は作品化の計画が無かったのだ。会場には16台のカメラが持ち込まれていたが、ミュージシャンの映像をステージのバックドロップ(ステージの背景に設置する幕)に投影するのがメインの目的。映像を作品化することは考えられていなかった。撮影チームを率いていたディック・カラザーズ監督は編集した映像のラフカットをメンバーに見せ、124分に渡るコンサートのビジュアルとサウンドがいかに素晴らしいかを全員に納得させる。ちなみにカラザーズ監督はジミー・ペイジとともに「レッド・ツェッペリン DVD」(2003年発売)のプロデュースと編集を共同作業している。
2009年ようやく「Celebration Day」作品化のプロジェクトがスタートした。16台のカメラの映像をまとめあげるのにカラザーズ監督は18ヶ月かかっている。通常だと上映時間11時間分の映像編集の作業にあたるという。

<コンサートのライブ録音>
Big Mick
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さて音声だが当日のコンサートの客席に向けてのFOH(Front Of House)ミキサーを努めたのはメタリカのサウンド・エンジニアとして知られるカリスマ・ミキサーのビッグ・ミック・ヒューズだ。コンサートには最新のMidas XL8コンソールとともに、2007年秋に発売されたばかりのマイダス社のKlark Teknik DN9696 96トラック・ハードディスク・レコーダーが運び込まれた。当日のライブ録音はこのDN9696を使って24bit/96kHzで行われている。ビッグ・ミックによると録音は入力 36 + effects 40の合計76トラックとのことだが実際には96トラックがフルに使われたようだ。
DN9696
Klark Teknik DN9696
このビッグ・ミック・ヒューズによるステレオミックスはDelux Editionのオマケ盤DVDの音声(24bit/48Khz)で聴ける。ただし本番ではなくドライリハーサルでの音声。彼のミックスは評判に違わないことが分かる。なお同盤の映像はカラザーズ監督がチェックのためリハーサル・ルームのステージ正面に立てた三脚にセットされた民生用DVカメラの録画だ。

<サウンドトラックのリミックス>
映像編集にはビッグ・ミック・ヒューズのステレオミックスが使われたが、プロデューサーのペイジはこれには満足せず、新たに名のあるミキサーをステレオと5.1chのミックスに起用する事を決めた。期日も押し詰まった2012年の夏、ナイン・インチ・ネールス、アークティック・モンキーズそしてマイ・ブラディ・バレンタインの作品で知られる北ロンドンのAssault & Batteryスタジオのアラン・モルダーが起用された。時間が限られているため、彼は演奏曲目の16曲を一曲ごとに分割してミックスするのでなく、約2時間の全トラックを連続して処理する道を選ぶ。モルダーは1個の巨大な48kHz Pro Tools sessionにマスターを変換して作業を進めた。当日コンサート会場にいなかったモルダーにとってビッグ・ミックのステレオミックスは頼るべき道しるべとなった。
Alan Moulder
Alan Moulder

<Blu-rayの映像を見て>
「Celebration Day」を実際に見るまでは
・ジミー・ページはまだダブルネックをかっこ良く弾けるか。
・ローバート・プラントの声はチャンと出るのか。
・ジェイソンでゼッペリンのドラムスは大丈夫なのか。
などなど色々心配だったが、コンサートの最初を飾る「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ(Good Times Bad Times)」(1st Albumの1曲目)でそんなモヤモヤはすっ飛んでしまった。「胸いっぱいの愛を(Whole Lotta Love)」 「ロックン・ロール(Rock And Roll)」 「カシミール(Kashmir)」 そして 「天国への階段(Stairway To Heaven)」や「幻惑されて(Dazed And Confused)」などの伝説のバンドの真骨頂とも言える16曲を次々に披露し、あっと言う間に2時間超のコンサートは終る。最後は再結成を助けてくれたジェイソンに対するメンバー3人の温かいまなざし。それに応えるジェイソンのクローズアップ。うるっとくるシーンもある。映像もサウンドも大満足の盤だった。
残念なのはブルーレイのおかげで2枚のCDの価値がかすんでしまうこと。CD盤はミックスが少し異なり観客の歓声や会場エコーが若干多い様に感じる。それとバスドラのキックの低域が少し強く感じられるのは気のせいか。

Zep Log Bsck Drop

<レッド・ゼッペリンとハイレゾ>
彼等のオリジナル9作品のうちSACDやDVD-Audioで発売された作品は皆無。CD超のクオリティを持つハイレゾ音源は、現時点ではBlu-rayかDVDによる映像作品のサウンドトラックしかない。「祭典の日」は最新機材で録られた新作ということで特筆される。ライブの収録は24bit/96kHzで行われた模様だが、残念ながらファイナルミックスは24bit/48kHzとなった。しかし24bitの恩恵はすごい。ジェイソンとジョン・ポールの生み出す分厚いリズムのダイナミックスを余すところ無く伝えてくれる。HDMIの音声を(分離して)オーディオ装置で聴けば、CDを遥かにしのぐ感動が得られる。サウンドトラックは24bit/48kHz、116分のファイルとしてHDtracksやe-onkyo musicでもダウンロード購入が可能だ。
ちなみに後述した「熱狂のライブ」のサウンドトラックもリミックスで優れたハイレゾに生まれ変わっている。
ジミー・ペイジはスタジオ9作品のニュー・マスタリング(原盤となるアナログ・マスターからの新規デジタルマスタリング)を終えたと述べている。ロッククラッシックス待望のゼップ作品のハイレゾ化発売が待たれる。 [ 2014年1月31日追記 ]

<おまけ:「熱狂のライブ」DVD>
「祭典の日」を見終わってから、DVD「熱狂のライブ(The Song Remain The Same)」をPioneer BDP-160 にかけ、同じ様にHDMI切替器400-SW015から分離した音声を同軸出力でRME FireFace UCXやBEHRINGER SRC2496につないで視聴してみた。完全にハイレゾで聴くライブコンサートの音だ。実は収録されているマジソン・スクエア・ガーデンのライヴ(1973年)は当時最新の24トラックのレコーダーを搭載した録音車を使い、サウンド・エンジニアのエディ・クレイマーが収録したもの。2007年の再発売に際して、ジミー・ペイジは信頼するエンジニアのケヴィン・シャーリーを起用し、マルチトラックから新たにリミックスを行った。このため音が劇的に改善されている。(DVDは発売年に注意。)

 
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