「Girls Pop 50's & 60's」のプレイリスト作り
涙のバースディ・パーティcover 2

ガール・グループ (girl groups) は米国で起こった大掛かりなムーブメントだった。50年代末~60年代半ばまではアメリカン・ポップスの黄金時代。女性ポップ・アイドルも負けないくらい活発だった。ガールズ・ポップ(girls pop)の動きが頂点に達するのは1963年のこと。この年にヒットした、レスリー・ゴーアの「It's My Party(涙のバースディ・パーティ)」と「You Don't Own Me(恋と涙の17才)」の2曲がプレイリストの白眉。60年代ガールズ・ポップ・サウンドの最高峰といっていい。「It's My Party」の出だしのインパクト、バック・コーラスでの手拍子、間奏のノリのよさなど、当時のポップスやロックンロールの一般的な水準を遥かに越えている。「You Don't Own Me」も同様、ストリングスアレンジや音の空間処理は最近の作品と遜色無い。メインストリームのポップが持つサウンドを持っている。
ガール・グループの覇者が西のフィル・スペクターなら、ガールズ・ポップ界のチャンピオンといえるのは悩める十代の心を歌うアイドル、レスリー・ゴーアを育てた東のクインシー・ジョーンズと言えるかも知れない。

クインシー・ジョーンズ

Mercury Recordsの制作部長兼プロデューサーだったクインシー・ジョーンズは契約したばかりの若い女性歌手レスリー・ゴーアのプロデュースを依頼される。16才の少女のためにクインシー・ジョーンズはエンジニアにフィル・ラモーン、アレンジャーにクラウス・オガーマンを配する強力な制作体勢を敷いた。フィル・ラモーンはビリー・ジョエルを手掛けてカリスマ・プロデューサーに、クラウス・オガーマンはクリード・テイラーの右腕としてCTIの屋台骨を背負うアレンジャーとなる。2人とも超が付くスタッフだった。
初ヒットで全米1位。「It's My Party」はクインシーとレスリーが200枚に及ぶデモ盤(アセテート盤サンプル)から選んだ曲。西のフィル・スペクターもこの曲をクリスタルズの次のシングル盤候補と決め録音を進めていた。両者はNYで直接対峙する。1963年3月30日の夕刻。場所はカーネギホール。シャルル・アズナブールのコンサート会場でのこと。クインシーはコンサート後のレセプション・パーティーの責任者だった(アズナブールは親会社のPhilips専属)。クインシーが会場の外でたたずむところへ、コンサートに来たフィル・スペクターが話しかける。「これまで聴いた事が無いくらい良い曲をクリスタルズで録音しているんだ・・・。」クインシーは「曲名はなんていうんだ?」と問いかける。もちろん「It’s My Party」がフィルの答え。クインシーは何も言葉を返さなかった。

クインシーとレスリー
(L→R) Quincy Jones, Millie Small and Lesley Gore
翌朝クインシーは前日の午後3時に録音が終ったばかりの1/2インチマスターをマンハッタンのベル・サウンド・スタジオからピックアップ。エンジニアのフィル・ラモーンを叩き起こし、同じマンハッタンにある彼のA&Rスタジオに駆け込む。シングル用マスターを作り終えると、2人は終日カッティング・マシーンでアセテート盤を切る作業に没頭する。月曜日にクインシー・ジョーンズは100枚のアセテート盤を全国のTop100局にを郵送。フィル・スペクターの動きを知って緊急発売に切り替えたのだ。
レスリー・ゴーアが自分が歌った「It's My Party」を学校から帰る車の中で聴いたのは、録音が終ってからわずか6日後のことだった。6週間後に曲は全米1位に。フィル・スペクターの動きも立ち消えとなった。

内気なジョニー cover

プレイリストでもう1つ触れておきたいのがワーナー・ブラザーズ映画の子会社として設立されたワーナーブラザース・レコードでのジョニー・ソマーズのプロジェクト。中規模のインディ(当時)ながら良い仕事をしている。彼女はガールズ・ポップを唄う、ただの可愛い女の子ではない。れっきとしたソフトジャズの歌い手。マーティ・ペイチ、ニール・ヘフティといった豪華スタッフ陣でハリウッド録音が行われている。ヒットとなった「Johnny Get Angry(ボビーに首ったけ)」は草食系男子にかけるはげましの歌だが作詞はバート・バカラックと組んで有名なハル・デヴィッド。(この歌の作曲はシャーマン・エドワーズ)。ポップス黄金時代が蘇るマイ・フェイヴォリット・ナンバーだ。東芝音工時代に日本語盤が制作された「Memories Memories(すてきなメモリ)」も入れている。
Joanie Sommers
Joanie Sommers 1961年頃
■ このプレイリストを作る上でのポリシー
1) 1957年から1968年の間に作られた作品。
1) 女性ソロ・ヴォーカルと女性リード+混声バックコーラスのもの。
2) フレンチ・ポップやサンレモ/カンツォーネ系ポップは含まない。
(ジリオラ・チンクエッティ、フランス・ギャルやシルヴィ・バルタンは入らない。)
3) 英語圏(米・英)のヒット曲を中心に収録。
UKアーチスト:ヘレン・シャピロ、ダスティ・スプリングフィールド、ルル、ペトラ・クラーク、メリー・ホプキン。
4) ディズニーのガールズ・ポップを収録する。
フィル・スペクターのテディ・ベアーズで始まり、ポール・マッカートニーのプロデュースしたメリー・ホプキンで終る。約10年間のガールズ・ポップの歴史だ。

■ 邦題の付け方が60年代ポップスらしいので一覧に
1. 会ったとたんに一目惚れ
2. タミー
3. ジョニー・エンジェル
4. カラーに口紅
5. レッツ・ゲット・トゥゲザー
(「罠にかかったパパとママ」)
6. 愛の賛歌
7. ワン・ボーイ
8. パイナップル・プリンセス
9. ヴァケーション
10. 悲しき片想い
11. この世の果てまで
12. 涙のバースディ・パーティ
13. 恋と涙の17才
14. 二人だけのデート
15. アイ・ウィル・フォロー・ヒム
16. ネイビー・ブルー
17. バイ・バイ・バーディー
18. ボビーに首ったけ
19. 内気なジョニー
20. バン・バン
21. いつも心に太陽を
22. 燃ゆる初恋
23. 恋はボサノバ
24. 恋のダウン・タウン
25. 夢見る恋
26. イージヤー・セッド・ザン・ダン
27. マイ・ガイ
28. ロコモーション
29. すてきなメモリー
30. 悲しき天使

■ Index
Girls Pop Index
収録曲数:30曲  演奏時間:77分00秒(ポーズ含む)
 
 
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