RME社のDIGICheckを楽曲のレベル合わせに使う
RME DIGICheck
プレイリスト「Girl Groups 50's & 60's」を実際に作るまでを記事にしたのが前回のブログ。選曲して曲順を決めてそれで終わりではない。私の場合、iPhone 5に渡してイヤフォーンで聴く。バーニングソフトのToast 9に読込ませてCD-Rに焼く。2つの目的のため曲ごとのレベル合せが不可欠だ。音量レベルがバラバラだと聴きづらいというのは誰もが経験すること。今回のGirl Groupsのコンピは時代的にモノラル録音多数。さらに私がCD黎明期に購入したCD(音量レベルが低い)からの収録曲が結構多いなど、手こずりそうな条件ばかり。ある程度手間(時間)がかかるのは覚悟していた。
作業(マスタリングと呼ぶ)に強力な援軍が登場した。独RMEの製品に無料バンドルされるDIGICheckだ。業務用スタジオ設計施工大手会社もRMEのオーデイインターフェイスをその製品精度の高さから採用しているそうだ。実はRMEのオーディオインターフェイスFireface UCXが我が家にやって来たのだ。この件は別に述べる。
このオマケ(失礼)、実に素晴らしい。RMS & Peakメーター、スペクラムアナライザー、オシロスコープなど音響に必要なほとんどの測定が可能。測定用マイクBehringer ECM8000(Amazon ¥4,980)などと組み合わせればそれだけで元がとれる代物だ。メーターはRME製品の内部ハードウェア処理を利用しているため、CPUの負荷はほぼ0。メーター類の描画のみPCのグラフィック・チップのお世話になる。


Sound Studio 3 (S)

<Sound Studio 3>
Mac OSX用の波形編集ソフト Sound Studio 3(最新はVer.4)を音量レベル編集に使っている。音の取込み(アナログレコードなど)が本業のソフトだ。24bit/96KHzまでの録音に対応する。デジタル化したあとのファイルの編集・加工もお手の物。フェードインやフェードアウトも波形編集で簡単に出来る。
<編集作業>
iTunesの曲目一覧で目的のファイル名を右クリック。本体ファイルをディスクトップに表示させて、それをSound Studioで開いて波形を編集する(ファイル形式はAIFF)。

AIFF_edit_image

波形編集<録音レベル>の基本は、1) クリップ(レベルオーバー)させない。2) できるだけ大きなレベルにする。この二つを監視するのに絶大な威力を発揮するのがDIGICheck。様々な機能が搭載されているが、今回主に利用したのは『4-Bar Level Meter』と『Vector Audio Scope』のふたつ。前者は「Peakレベルメーター」、「RMSレベルメーター」、「オーバー検知(0dBFS 以上のレベル)」が主な役割。後者は「Peakレベルメーター」、「RMSレベルメーター」のふたつにオシロスコープでステレオシグナルの位相と幅、モノ互換を表すゴニオメーターの画面が付く。
Vector Audio Studio Scope
Vector Audio Scope

【DTM系用語について】
<RMS:アールエムエス(実効値)>
ピークレベルは瞬間を捉えるため、耳で聴いた場合の音量と必ずしも一致しない。これに対してRMSは信号の「パワー」の大きさを表し、ほぼ聴感上の音量に一致する。音圧レベルを確かめるのにRMSメーターは欠かせない。

<Peak:ピーク>
デジタル機器で音を扱う場合には、一瞬でも信号レベルが機器が扱える範囲を超えてしまうとハードクリップを起こし、大きなノイズとなってしまう。クリップを避けるためピークレベルを監視することが重要となる。『4-Bar Level Meter』ではどのくらいクリップしたのか判別しやすいようピークメーターの限界値が+3dBに設定されている。内側がピーク、外側がRMSを表示するメーター。使い勝手が考えられている。

4-Bar Lever Mater (rev)
4-Bar Level Meter

<dBFS:ディービーエフエス>
FSは「フルスケール」の事で、デジタルで表現可能な最大値を指す。dBFSでデジタル信号の大きさの単位。最大値を0dBFSとして、信号の大きさを表すのに使う。0dBFSを超える信号は全てハードクリップ(歪み)となるため、通常の値はマイナスの数値で表される。
<dB デシベル>
デシベルは、グラム(g)やメートル(m)の様に自然界の絶対値を表す単位ではなく、パーセント(%)の様に比率や倍率を表す相対的な単位。ちなみに騒音の大きさでデシベルが使われるがこれはdB SPL[Sound Pressure Level]という音圧を絶対値で表す単位なので別。オーディオで使われるdBは比率の単位のほうだ。詳しくはこちらを参照。入力と出力の比が2倍だと、20*log10(2) = 6.02で約6dBとなる。+6dBするという事は波形の大きさを2倍にする事であり、-6dBするという事は波形を1/2(50%)にする事になる。良く使われる値は下記。
デシベル値            倍率  
 0デシベル           1倍  
 6デシベル           2倍  
10デシベル           3倍  
20デシベル           10倍  
40デシベル          100倍  
60デシベル          1000倍

通常、私の編集環境では+3dB(約140%)~ -3dB(約70%)の範囲でレベルを調整している。調整する最小単位は0.5dBにしている。あまり細かいと効果が分からないし、やり直すときに細かすぎると混乱を招くからだ。

Back to Mono (S)

<編集作業の実際>
■「ウォール・オブ・サウンド」物の音源を他の楽曲と聴感上の音量レベルを合わせるのに苦労した。理由は次の2つ。
1) 1991年発売の「Back To Mono」を使用したが、カッティング・レベルが今日発売されている洋盤CDより3dB~4dB低い。レベル差を補う必要があった。(最近購入したGirl Groups物のコンピと比較。)
2)「Back To Mono」の楽曲はコンプレサーを使わず音圧レベルを稼ぐスタイルが取られているので他の音源と組み合わせると聴感上のレベルを合わせにくい。ピークメーターは振れるがRMSメーターは思ったほど振れない。レベルオーバーに気を付けながらピークを限界(0dBFS)まで上げないと「ウォール・オブ・サウンド」の迫力が出てこない。

■ CD黎明期に購入したCDを使用した。作品は「Motown's Biggest Pop Hits - All No.1」や「Compact Command Performance: 20 Greatest Hits」。スプリームスのヒット曲などだが、黎明期のCD(1980年代半ばに購入)はカッティングレベルが極端に低い。+6dB(2倍)補正する必要があった。
■ オシロスコープのゴニオメーター
モノラル録音全盛期の作品が多いが、モノラルマスターを正しくモノ用フルトラックのヘッドにセットしたかどうかが面白い様に分かる。2chのステレオ用のヘッドでモノマスターを再生するとオシロの垂直な線にヒゲが付いたり斜めに線が描かれたりして一目瞭然。(音の悪化は無い様だが。)コンピことに様々。
■ 結論として、DigiCheckはおおいに役に立った。特にロネッツ、クリスタルズ、ダーレン・ラヴなど「Back to Mono」収録のフィル・スペクター作品はピークメーターの限度一杯までSound Studio 3でレベルをUP。『4-Bar Level Meter』と『Vector Audio Scope』でレベルオーバーが表示されたファイルは-0.5dBづつ調整して範囲内にレベルをアジャストした。

Supremes_PKG

 
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