英国の音 ストロベリースタジオ「アイム・ノット・イン・ラブ」
ストロベリースタジオ
Straberry Studios, Stockport 1973年

仕事でマンチェスターを訪れたある日、地元バンドのカリマ(Kalima)のマネージャーから次の新作のデモが出来たので聴きにこないかと誘いを受けた。1987年の夏のこと。カリマは女性ヴォーカルが中心のスムーズ・ジャズと言って良いサウンドのポップ・バンド。当時日本では少しは話題になってきていたが、地元マンチェスターでのカリマの人気は今ひとつ。存続が危ぶまれる状態だった。私が連れて行かれたのはマンチェスターの中心部から10kmほど離れた郊外のストックポートにあるストロベリー・スタジオ(Strawberry Recording Studios)。マンチェスター出身の10CC(テン・シー・シー)が作ったスタジオだ。
ポップソングの中で最も美しい曲と評価の高い名作「アイム・ノット・イン・ラブ(I'm Not In Love)」(1985年)が作られたスタジオだ。

もう夕方を過ぎていたので暗かったがスタジオはコントロールルームがほの明るく照らされている。モニターはなにか不明だったがアルテックかタンノイの同軸系のユニットからクッキリした女性ヴォーカルが流れる。テンポの早いボサノバ調の曲とよりジャズテイストの強い曲の2曲を試聴。オシャレな曲でどちらもなかなか良いと思った記憶がある。

ヘリオス調整卓
Helios Red Console Desk

スタジオの虫といわれた10ccは70年代初頭にスタジオ改修する際、当時ミュージシャンの間で人気の高かったヘリオス(Helios)社にミキシングコンソールを発注する。赤いヘリオスのミキシング・コンソール、通称「レッド・ヘリオス」をスタジオに導入した。いつかはビートルズにこのスタジオでレコーディングしてもらおうと、10CCのメンバーのエリック・スチュワートはビートルズの曲にちなんで、ストロベリー・レコーディング・スタジオ(Strawberry Recording Studio)と命名した。そしてレコード音楽史上に残る金字塔、「アイム・ノット・イン・ラブ」が収められた10CCのサード・アルバム「サウンド・トラック」(1975年)をここで完成させている。
スタジオは地元マンチェスターの有力アーチストにとっても馴染みの場所となった。マンチェスター出身のジョイ・ディヴィジョン、スミス、ストーン・ローゼズなどはこのスタジを愛用した代表格のバンドだ。

10CCサウンドトラックCD
10CC "Soundtrack" 1975年

10CCのエリック・スチュワートやグラハム・ゴールドマンが夢に描いていたビートルズのメンバーがこのスタジオを利用する機会にも恵まれた。1974年、ポール・マッカートニーの2才下の弟のミュージシャン、マイク・マクギアー(本名 Mike McCartney)のレコーディングとプロデュースでポール・マッカートニーがこのスタジオを利用したのだ。場所的にもリバプールから車で1時間弱。1993年にクローズされるまで地元と近郊の街のミュージシャンに愛されるスタジオだった。
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