英国の音 ロッド・スチュワート「マギー・メイ」
Every Picture Tell A Story

ロッド・スチュワートは英国を代表するシンガー・ソングライター。
1971年に発表した「マギー・メイ」は同時に発売されたアルバムの
「Every Picture Tells A Story」とともにシングル、LP同時に全英・全米NO.1の快挙を成し遂げ、彼をカルト・シンガーから一躍国際的なスーパースターに押し上げた曲。シンガー・ソングライターとして自作曲も歌うが、他人のカバー曲を歌う場合は全て自ら選曲する。本職のヴォーカルだけでなくギター、ピアノ、ハーモニカも一級の腕前だ。本作はロッドが英国で制作した時代の傑作。筆者のお気に入りの一枚だ。
「Every Picture Tells Story」アルバムはピアノやアコースティックギターで始まってロッドのヴォーカルとオルガン、ベースが加わりそしてギターのカッティング、中盤からはマンドリンか曲によってヴァイオリンも加わる。フォーク・ロックと言っても過言ではないほどスコットランドのトラッドに近い音の構成になっている。なかで歌われる「AMAZING GRACE」はスコットランド民謡でアメリカでは聖歌として歌われている曲。
全体をとうして、ブンブン、ドスドスいうドラムスとベースの響きが大きいから、あたかもバグパイプで演奏するように、常に通奏低音に当たる音が鳴っている。音量を下げて聴くと分離の悪いモコモコした音に聴こえるが、ロッドのしゃがれた声とハイハット・シンバルそしてギターのカッティングが高音部のキレやアクセントになったいる。少しだけボリュームを上げてやればふっくらした低音にスッーと伸びた高域がバランスした音が鳴る。筆者のイメージする典型的な英国の音そのもの。
このアルバムや前作の「Gasoline Alley」は録音が悪いという声を一部で聞くが、大いなる誤解である。これこそロックンロールとフォーク・トラッドを絶妙な感じでミックスして当時の若い労働者階級に圧倒的に支持された生粋の英国サウンドだ。

ロッド・スチュワートが英国で制作したソロの4作品(68年制作の1stアルバムを除く)、さらに彼がリード・ヴォーカルとして在籍したフェイセスの録音のほとんどはロンドン北部のウィルスデンにあるモーガン・スタジオでおこなわれている。

Morgan Studios
Morgan Studiosだった建物 1978年
ロンドンのスタジオではEMIのアビーロードが最も有名だが、1960年代末から70年代始めにかけて世界的に見ても最も目覚しい成果をあげたのがこのモーガンとトライデント(トライデントに関しては「英国の音:ヘイ・ジュード」参照)だ。いずれもレコード会社に属さない独立系スタジオである。両者は技術的にも英国デッカ・レコードと並んで70年代のイギリスの録音技術の最前線にあった。1968年にはどちらもいち早く8トラック・レコーダーを導入。翌年には競うように16トラック・レコーダーを入れている。

CADAC 1st Console
First CADAC Console 1967年

トライデントは自前でミキシング・コンソール(調整卓)を開発したが、モーガンはEMIのアビーロードのコンソールのトランジスタ化にたづさわった技術者やランズドーン・スタジオの技師などが設立したCADAC(Clive, Adrian, David And Charlesの4人の頭文字)に製作を依頼。彼らが作った第1号の調整卓は8トラックのScally280 8-trackとともにモーガンに設置された。翌年の1969年には第一スタジオを新設。CADACの2号機と3M社の16トラック・レコーダーが置かれた。
モーガンがどれほど繁盛していたかは1974年のある日のスタジオ・スケジュールから分かる。ブラック・サバス[Studio 4]、イエス[Studio 3]、ジェスロ・タル[Studio 2]、ロッド・スチュワートとフェイセス[Studio 1]。ちなみにロッド・スチュワートとフェイセスのレコーディングのほとんどは同スタジオのチーフエンジニア、マイク・ボバックが担当している。

コンソールを製作したCADACのその後だが、1980年代にかけて世界の著名スタジオに次々とCADACの調整卓が導入された。ところが現在はスタジオ用調整卓からは撤退している。大がかりなミュージカルのライブ用コンソールの製造会社に転進したのだ。「オペラ座の怪人」、「ライオン・キング」、「マンマ・ミーア」、「ウイ・ウイルロック・ユー」などロンドンのウエストエンドとニューヨークのブロードウェイで上演される主要なミュージカルには同社の劇場用コンソールが使われている。きっかけはモーガン・スタジオのエンジニアMartin Levanがウエストエンドの劇場から次に上演される「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(Little Shop of Horrors)」の劇場用コンソールを依頼されたことに始まる。1984年のこと。彼はCADAC社にこの話を持込み・・・。1980年代半ばには同社はスタジオ用コンソールからの撤退を発表。最後のスタジオ用調整卓は1986年にAudio International(現Air Edelスタジオ)に納入された。
同社が製造するの劇場用Cadac J-Type Live Production Consoleはミュージカル業界の標準機材の一つとなっている。

Little Shop of Horrows
Little Shop of Horrors / New Broadway Cast
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