The Dead Media:8トラック・プレーヤーの話
リンカーンコンチネンタル

日テレ系金曜ロードショーで最近放送された「メン・イン・ブラック」第一作(1997年制作)を見ていて、アレッと思う場面に出会った。黒のリンカーンでエイリアンを追ってトンネルをカーチェイスするシーンがそれ。カーチェイスが始まると、トミー・リー・ジョーンズ(K)がカートリッジを入れてテープをプレイする。かけた曲はエルビス・プレスリーの「Promise Land」(エイリアンの「地球脱出」をパロった選曲?)。入れられたカートリッジ・テープは8トラックだった。

8トラックプレイヤー

K達が乗った黒塗りのリンカーン・コンチネンタルはおそらく1966年モデル。この年のモデルから工場出荷で当時発売されたばかりの8トラック・プレーヤーが取り付けられている。
1965年秋、フォードは翌年のモデルのムスタング、サンダーバードそしてリンカーンにオプションで新開発の8トラック・プレイヤーを付けると発表したのだ。映画のシーンや小道具にもそんな時代的背景が反映されていて感心する。
当時は録音にはオープンリールが使われていたが、車載するには無理があった。 そこで、乗用車でも利用可能なように作られたものの一つが、この8トラックである。

Elvis 8track Tape
Elvis Prerecorded Tape
同じエンドレス・カセットの4トラック・カートリッジ(フィデリパック)をもとにしてビジネス・ジェットで有名な米国リア・ジェット社オーナーのBill Learが開発。同社を中心にAmpex、Motorola 、 RCA、そしてフォードとゼネラルモータスが共同開発の企業連合を組み新規格をスタートさせた。この「カートリッジ式エンドレステープ」、当初はカーアクセサリとしてガススタンドやパーツストアーで扱われた。巻き戻す必要がなく取り扱いが楽なので米国内では広く普及した。英国を含む欧州ではカッセット・テープが早くから成功したため8トラックはほとんど知られること無く終わったが、日本では米国以上に大きな成功を収めた。
ステレオなので2トラック分必要とし、テープ一本に計4チャンネルあるので、4×2=8で俗に「8(エイト)トラック」と称した。
巻き戻し不要(一方向回転のみで巻き戻し不可能)の特徴は、日本では新たにブームになったカラオケ用や業務用自動アナウンス(路線バスなどの車内放送)等に適していたことから、1980年代後半まで広範囲に用いられることになった。コンソーシアム(企業連合)の主要社の一つMotorola 社がスタートの翌年から、米国で販売する8トラック・プレーヤーの生産全てを日本の企業に委託したのも大きかった。

8トラックカートリッジの普及はプロの録音機器にも大きな影響を及ぼした。生産に必要なマスターは1インチテープを使う8トラック・マルチレコーダが使われた。サウンドエンジニアがスタジオから届いたオリジナルマスターから生産用のマスターを作成し、生産用マシーンに供給した。そのため米国では英国・欧州に先駆けて8トラック・マルチレコーダの普及が早かった。

Ampex 440-8
AMPEX AG440-8

英国で「ヘイ・ジュード」の録音でようやく8トラック・マルチレコーダが問題になるよりかなり前から、Ampex社や3M社の8トラック・マルチレコーダは米国各地のスタジオで実稼働していた。日本でも8トラック・マルチレコーダの導入は早く、老舗の日本コロムビアの川崎工場には1968年には8トラック生産用としてAMPEX AG440-8が置かれていたという話である。(録音用に使うため、同社の赤坂スタジオに機材を移動したのは1970年に入ってからのこと。)
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日テレ系金曜ロードショーで最近放送された「メン・イン・ブラック」第一作(1997年制作)を見ていて、アレッと思う場面に出会った。黒のリンカーンでエイリアンを追ってトンネルを

まとめwoネタ速neo 2012/05/27 02:45