スティーブン・ウイルソンの作品をハイレゾで聴く
Steven title bar

当ブログでもたびたび取り上げている英国のミュージシャン兼エンジニア、スティーブン・ウイルソンのソロ2作品を一挙に紹介する。事情があって2作品のハイレゾ・ファイル(96kHz/24bit)をほぼ同時に手にした。一つは発売になったばかりの新作。ソロ4作目「ハンド・キャンノット・イレース(Hand. Cannot. Erase )」だ。もう一つは2013年発売のソロ3作目「レイヴンは歌わない(The Raven That Refused To Sing )」。アラン・パーソンズがプロデューサー兼エンジニアで参加している。オヤジ世代にとっては思わず触手が動く作品。スティーブン・ウイルソンを買おうと思ったのは、80年代の英国ロック・ポップの頂点、ティアーズ・フォー・フィアーズ、とシンプル・マインズのリミックスを手掛けたこと。元の素材以上のものを引き出すと云われるスティーヴンの巧みの技の原点に直接触れてみたかったからだ。

Steven Wilson (S)
Steven Wilson. Pix: Naki Kouyioumtzis

まず「レイヴンは歌わない」をHDtracksでダウンロード購入した。発売日が真近に迫った新作「ハンド・キャンノット・イレース」はどうかなと、e-onkyo musicを覗いて見た。驚くことに米英独で3月3日発売の作品が日本の配信サイトでは2月25日にダウンロード出来る状態になっている。ファイルの注意書きを見て目が点になる。「本作品は16bit/44.1kHzのマスター音源をビクタースタジオ FLAIRが有するオリジナル技術『K2HDプロセッシング』を用いハイレゾ化した作品となります。」とある。言葉は悪いがアップサンプリングの『偽レゾ』が売られている。販売元のJVCのVICTOR STUDIO HD-Soundも見たが同じ『K2HDプロセッシング』のファイルだ。本来『K2HDプロセッシング』はマスターに24bitファイルが入手不可の場合に使う技術。3月になればBDオーディオでもHDtracksでもハイレゾが一般販売される。原盤元のSnapper Musicとスティーブン・ウイルソンのFacebookのページに日本の状況を書いて送る。「イメージが悪くなるので2つのサイトのファイルを至急偽レゾでなく正式なハイレゾに取り返て欲しい。」とリクエストも書いた。英国のSnapper Musicから「状況を教えてくれて有り難う。問題解決に動きます。貴方に正規の『Hand. Cannot. Erase』を送ります。」と返信メール。翌日にはZipされたWAVファイルが転送サービス経由でダウンロード可能になった。ところで3月5日現在日本のサイトのファイルはまだ変更されていない。HDtracksには96/24の「Hand. Cannot. Erase」がUPされ、日本からのダウンロードは可能。問題が解決するまではHDtracksを利用するのが吉。

SW Picture

<ソロ・アルバム>
3作目と4作目を同時に聴くことが出来て幸運だった。スティーブン・ウイルソンはポーキュパイン・ツリー(元ジャパンのリチャード・バルビエリなどが参加)のリーダーでもあるが、最近はソロ・アルバム2作品を同一の固定メンバーで制作している。3rd、4thアルバムのメンバーはロック、ジャズなどのジャンルを超える若手凄腕ミュージシャンの集まり。このメンバーで欧州ツアーもおこなっている。
Steven Wilson - vocals, guitar, mellotron
Guthrie Govan - guitar
Adam Holzman - keyboards
Nick Beggs - bass, sticks
Marco Minneman - drums
Theo Travis – flute, sax, clarinet

<ハンド・キャンノット・イレース(Hand. Cannot. Erase)>
Hand. Cannot. Erase pkg

ソロ4作目。録音は新装なったロンドンのAIRスタジオ。技術はAIRのハウスエンジニアを起用。スティーブンは60年代末から70年代にかけてのピンク・フロイド、ジェネシス、キング・クリムゾンそしてイエスなどが大切にしてきた「Conceptual」(作品よりも制作コンセプトを重視する概念)をかかげて進むプログレシブ・ロックの伝統を継承する若きホープ。本作は実話にもとずくエピソードにインスパイアされて曲が書き起こされている。「ジョイス・キャロル・ヴィンセント、2003年彼女は英国で孤独のうちに死を迎え、その遺骸は誰の目にも触れず2年間放置された。」というもの。オーディションで迎えた女性アーチストがヴォーカルで2曲に参加。スティーブンによればケート・ブッシュの作品に強い影響をうけたとのこと。悲しいストーリーのハズだが極めて美しく聴こえる。打ち込みは殆ど無く生録音が主体なのでアコースティックの音の広がりが奇麗だ。

<レイヴンは歌わない(The Raven That Refused To Sing)>
The Raven That Refused To Sing pkg

スティーブンが大きな影響を受けたのは母親に貰った2枚のLP。ピンク・フロイドの「狂気」。もう一枚はドナ・サマーの「Love To Love You Baby(邦題:愛の誘惑)」。ドナ・サマーはディスコとハウスの原点を作ったプロデューサー、ジョルジュ・モローダが手掛けた。本作は「狂気」を手掛けたアラン・パーソンズがプロデューサー兼エンジニアで参加している。本作のモチーフとなったのはヴィクトリア朝時代の怪奇短編小説「Victorian Ghost Stories」。超自然的な寓話にインスパイアされた作品で構成された。
録音はロスアンジェルスのEast West Studio。使われているメロトロンはあの「クリムゾンキングの宮殿」でイアン・マクドナルドが使ったOriginal King Crimson MK2 Mellotronとのこと。メロトロンにフルートがからむ。王道のプログレの再演ともいえる作品だ。さすがアラン・パーソンズと思うのはアナログ時代を思わせるリズム帯域。ドラムスとベースの音が解け合って融合している。そしてデジタル臭さを感じさせない音の纏め方。凄いの一言だ。
 
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