「シカゴと23の誓い(Chicago II)」のリミックス(新ミックス)を聴く
Chicago II Steven Wilson Mix
Chicago II [Steven Wilson Mix]

CDと同時発売(2017年1月27日)されたハイレゾ版「Chicago II (Steven Wilson Remix)」を聴いた。スティーブン・ウイルソンの記事を書く関係で某誌から資料としてファイルが送られてきた。作品はシカゴが1970年1月に発売した2nd。初期の傑作アルバムだ。
新ミックスを担当したスティーブン・ウイルソンは当ブログでも度々取り上げている英国の若手ミュージシャン兼エンジニア。イエスの「危機」のリミックスが評判を呼び、2015年にはユニーバーサル・ミュージックの依頼で80年代のポップ・ロック系の人気アーチストのティアーズ・フォー・フィアーズ、やシンプル・マインズのリミックスを手掛けている。今回は若干位相が違う。世界のポップ市場の中心の米国のトップアーチストのヒット作品だからだ。依頼主は米国を本拠地とするメジャーWarner Bros.系のRhinoの依頼。
デジタルマスタリングと異なり、オリジナル・16トラック・マルチ・テープに立ち戻りリミックスを行う。通常のミックスダウン作業と全く変わらない。


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ジョージ・ベンソン「Breezin'」とアル・シュミットのレコーディング
Breezin'

海外郵便小包でCDが届いた。2週間程前アマゾンで注文したジョージ・ベンソン「Breezin'」だ。発注していたのをすっかり忘れていた。 アマゾンのマーケットプレイスでは新品が廉価盤価格で手に入るのだが、欠点は海外の小売店が取り扱う商品のため到着まで2週間前後かかってしまう。
「Breezin'」を買おうと思った直接のきっかけは、ダイアナ・クラールの新作「ウォールフラワー」のハイレゾ版(48kHz/24bit)を購入したこと。どうしても比較したくなるのはベストセラーとなった「Look OF Love」。ダイアナ・クラールがスタンダードナンバーから選曲して、2001年に贅を尽くして録音したもの。同作品ののハイレゾ版(96kHz/24bit)とともに彼女のオランピア劇場での「ライブ・イン・パリ」(2002年)のCDも同時に購入した。

Diana Krall Live In Paris

どちらもプロデュースはトミー・リピューマ。そしてペアーを組んでレコーディングを行ったのがアル・シュミット。本来彼もプロデューサーだが、トミー・リピューマに請われレコーディングを担当。オランピア劇場でのライブ録音はアル・シュミットがイコライザーをほとんど使わず、マイクの選択とセッティングで音作りをしたため、濁りが少なく透明感のある分離の良い音が収録されている。拍手と歓声が無ければとてもライブとは思えないクリアさだ。LPはサウンドチェック用高音質盤として今でも高値で取引される。LPとレギュラーCDのみでの発売だが、どちらもハイレゾを凌駕する。
この2人のコンビが世界にその存在感を見せつけたのが「Breezin'」(1976年)だった。ジョージ・ベンソンが歌った「マスカレード」が全米No.1となっただけでなく、ポップ、ジャズ、R&B何れのチャートでもトップを記録し、歴代で最も売れたジャズアルバムとなった。2人の作り上げたサウンドはその後のジャズフュージョンのスタンダードとなっていく。我がライブラリーには未登録の重要作品の一枚だった。


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ダイアナ・クラール「ウォールフラワー(Wallflower)」をハイレゾで聴く
Wallflower
Wallflower
2月初旬にリリースされたダイアナ・クラール最新作「ウォールフラワー」をダウンロードで購入した。
シンガー/ピアニストのダイアナ・クラールの最新作はジャズではなく本物のポップ・アルバム。所属のヴァーブ・レコードの会長デイヴィッド・フォスターがアレンジ/プロデュースを担当。ダイアナが歌に専念出来るよう自身がピアノも担当するという力の入れよう。曲は'60年代 -'70年代の珠玉のポップ/ロックの名曲揃い。例外はポール・マッカートニー未発売のバラード「If I Take You Home Tonight」。彼女もピアノで参加したポールのスタンダード企画「Kisses to the Bottom」(2012年)のためにポールが書き下しで用意した作品とのこと。
どうしても比較したくなるのは2001年に大ヒットした「Look OF Love」。あちらは彼女がスタンダードナンバーから選曲して、世紀が変わる時に贅を尽くして録音したもの。トミー・リピューマのプロデュース、クラウス・オガーマンのアレンジ、録音エンジニアはアル・シュミットと黄金期の「A&Mサウンド」を再現している。あれから十数年が経過した。直接比較は主旨と違うのでやらないが、本作でダイアナは20世紀後半がどんな時代であったかを曲に託して歌っているように感じる。静かに押さえた歌い方も妙に納得してしまう。アレンジや音の録り方も華美にならないよう意図的に押さえているようだ。


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スティーブン・ウイルソンの作品をハイレゾで聴く
Steven title bar

当ブログでもたびたび取り上げている英国のミュージシャン兼エンジニア、スティーブン・ウイルソンのソロ2作品を一挙に紹介する。事情があって2作品のハイレゾ・ファイル(96kHz/24bit)をほぼ同時に手にした。一つは発売になったばかりの新作。ソロ4作目「ハンド・キャンノット・イレース(Hand. Cannot. Erase )」だ。もう一つは2013年発売のソロ3作目「レイヴンは歌わない(The Raven That Refused To Sing )」。アラン・パーソンズがプロデューサー兼エンジニアで参加している。オヤジ世代にとっては思わず触手が動く作品。スティーブン・ウイルソンを買おうと思ったのは、80年代の英国ロック・ポップの頂点、ティアーズ・フォー・フィアーズ、とシンプル・マインズのリミックスを手掛けたこと。元の素材以上のものを引き出すと云われるスティーヴンの巧みの技の原点に直接触れてみたかったからだ。

Steven Wilson (S)
Steven Wilson. Pix: Naki Kouyioumtzis

まず「レイヴンは歌わない」をHDtracksでダウンロード購入した。発売日が真近に迫った新作「ハンド・キャンノット・イレース」はどうかなと、e-onkyo musicを覗いて見た。驚くことに米英独で3月3日発売の作品が日本の配信サイトでは2月25日にダウンロード出来る状態になっている。ファイルの注意書きを見て目が点になる。「本作品は16bit/44.1kHzのマスター音源をビクタースタジオ FLAIRが有するオリジナル技術『K2HDプロセッシング』を用いハイレゾ化した作品となります。」とある。言葉は悪いがアップサンプリングの『偽レゾ』が売られている。販売元のJVCのVICTOR STUDIO HD-Soundも見たが同じ『K2HDプロセッシング』のファイルだ。本来『K2HDプロセッシング』はマスターに24bitファイルが入手不可の場合に使う技術。3月になればBDオーディオでもHDtracksでもハイレゾが一般販売される。原盤元のSnapper Musicとスティーブン・ウイルソンのFacebookのページに日本の状況を書いて送る。「イメージが悪くなるので2つのサイトのファイルを至急偽レゾでなく正式なハイレゾに取り返て欲しい。」とリクエストも書いた。英国のSnapper Musicから「状況を教えてくれて有り難う。問題解決に動きます。貴方に正規の『Hand. Cannot. Erase』を送ります。」と返信メール。翌日にはZipされたWAVファイルが転送サービス経由でダウンロード可能になった。ところで3月5日現在日本のサイトのファイルはまだ変更されていない。HDtracksには96/24の「Hand. Cannot. Erase」がUPされ、日本からのダウンロードは可能。問題が解決するまではHDtracksを利用するのが吉。


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Onkyo HF Player Ver.2.0 を使ってみた
HF Player Icon
オンキョーHF Playerを購入した。Ver 2.0にメジャーバージョンアップされたばかりのもの。HF Player Ver 2.0はiOS8完全対応と64bit端末への最適化をうたっている。本体は無料だがハイレゾ音源を再生するための機能を使うには別売の「HDプレーヤーパック」が必要。iOSの場合、HF Playerを起動後に内部から『App内課金(¥1,000)』で購入する。
iPhoneなどiOS器機にハイレゾファイルの扱いを可能にする機能を付け加え、ハイレゾ音源を再生するミュージックプレーヤーだ。ただしハイレゾ再生には外付けのiOS対応DACの用意と、接続ケーブル”Lightning - USB カメラアダプター”が必要だ。

nano iDSD 製品写真
我が家には昨年4月に購入した、超小型のnano iDSDがある。DSDも再生可能なポタアンだ。今年1月には手持ちの iPhoneは5から6になった。本体メモリは16GBから大幅UPの64GB。Lightning - USB カメラアダプターはnano iDSDと一緒に購入済。手元のハイレゾ・ファイルも20本近くになり、そろそろポータブル器機でハイレゾをテストする潮時だった。
Appleは腰が引けていて、iOSとiOS器機のハイレゾ対応がなかなか進まない。純正の音楽プレーヤー「ミュージック」は48kHz/16bit以上のPCMファイルを受け付けないし、PCMではないDSDもダメ。さらにPCMでもほぼ業界標準のロスレスのFLACもPC側のiTunesを含めて使用出来ない。純正の「ミュージック」にこだわらなければHF Playerなどのアプリで、iPhoneでもハイレゾ再生環境は容易に構築出来る。悩ましいのはアップルがiOS器機のハイレゾ音声出力を避けていること。iPhoneやiPadにはシーラス・ロジック製のオーディオチップが使われDACもハイレゾ対応の96/24規格のハズだが44.1/16又は48/16でしか音声が出力されない。これは外付けのDACとポタアンで回避するしか無い。


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ティアーズ・フォー・フィアーズ「Songs From The Big Chair」をスティーブン・ウィルソン復刻で聴く
TFF Songs From The Big Chair

ティアーズ・フォー・フィアーズの2ndアルバム「Songs From The Big Chair(邦題:シャウト)」(96kHz/24bit)をHDtracksで購入した。ティアーズ・フォー・フィアーズは80年代半ばを中心に活躍した英国のシンセポップデュオ。2曲の全米No.1シングル、アルバムも全米No.1。全世界に彼らの名を知らしめた名盤だ。日本でも本作からシングルカットされた「シャウト」や「ルール・ザ・ワールド」がCMソングに度々使われ、聴き覚えのある人も多いハズ。
スティーブン・ウイルソンの復刻がついに80年代作品でおこなわれたというのが購入動機。スティーブン・ウイルソンはイエス「危機」などプログレ復刻で一躍ハイレゾ界の寵児となった英国のミュージシャン/エンジニアだ。ダウンロードは米国のHDtracksから。日本のmoraやe-onkyoではまだ販売されていない(2014/12/20現在)。来年「Everybody Wants To Rule The World」発売30周年を迎えるのを記念して、ボックスセットとBDオーディオ(HFPA)が11月に発売されたが、そのハイレゾ音源の配信だ。



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ジョン・レノン「イマジン」をハイレゾで聴く
イマジン 表ジャケット

ジョン・レノンのソロ作品のなかで最も人気の高い「イマジン」をハイレゾでダウンロードした。表題曲「イマジン(Imagine)」は誰でも知るポピュラー名曲。またアルバム中の「ジェラス・ガイ(Jealous Guy)」はジョンが凶弾に倒れた直後、ロキシー・ミュージック (Roxy Music)が追悼のためカバー。翌年(1981年)1月に全英NO.1となった名曲だ。ちなみにカバーフォトに使われたのはポラロイドで撮ったアンディー・ウォーホールの写真。アルバムのイメージに欠かすことができない。
ハイレゾ配信は唐突であった。ジョンの誕生日、10月9日に配信開始。生誕70周年を記念して発売された「ジョン・レノンBOX (John Lennon Box)」(オリジナルアルバム8作+アルバム未収録シングル集+レア曲集 計11枚組)のため作られた、2010年リマスターが音源に使われた。
レッド・ツエッペリンの様な派手な事前告知は一切無し。販売元のユニバーサル・ジャパンのサイトでも10/7付けで『ジョン・レノンのスタジオ・アルバムと編集盤が初ハイレゾ化、第1弾は《イマジン》と《ロックン・ロール》<海外プレス・リリース訳>』という短いニュースがアップされていただけ。いかに余裕が無い発表だったか分かる。HDtracksのニュースレターが無ければ知らないままだった。

Lennon_imagine_lyrics

下記タイトルが現在配信中だ(96kHz/24bit 一部除く。)
「イマジン(Imagine)」
「ロックン・ロール(Rock'n'Roll)」
「マインド・ゲームス(Mind Games)」
「心の壁・愛の橋 (Walls and Bridges)」
「ダブル・ファンタジー (Double Fantasy)」
「ジョンの魂 (John Lennon/Plastic Ono Band)」
「サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ(Sometime in NYC)」
「ミルク・アンド・ハニー (Milk and Hone)」
(2010年にリリースされた編集盤、いずれも44.1kHz/24bit)
「パワー・トゥ・ザ・ピープル (Power to the People)(15曲入)」
「ギミ・サム・トゥルース (Gimme Some Trueth)(72曲入)」
(2010年に発売されたBOXのハイレゾ配信)   
「ジョン・レノンBOX (John Lennon Box)」
(オリジナルアルバム8作+アルバム未収録シングル集+レア曲)


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レッド・ツエッペリン「IV」デラックス・エディションをハイレゾで聴く
Led Zeppelin IV DX Edition

レッド・ツエッペリン「IV」デラックス・エディションをHDtracksで購入した。米国では10月27日にダウンロード可能となっていた。CD、LP、スーパーデラックスなど6つの形態で発売されるのは初回のリマスターと同じ。各フォーマットとも最新デジタル・リマスター音源を採用。音質グレードが最も高いのは配信の96kHz/24bitファイルの販売となる。リマスターで音質は非常にクリアーになったが、元々の録音帯域があまり広いほうでないので、ハイレゾの優位感はあまりない。むしろLPユーザーの方が満足度は高いハズ。リマスターシリーズ同士で比べるなら音は「I」(1968年に8トラックマルチレコーダーで録られた)のほうが上。むしろ今回同時発売される「聖なる館」に期待したほうが良い。

レッド・ツエッペリン

全作品にジミー・ペイジ本人がかかわったデジタル・マスタリングは1993年の「コンプリート・スタジオ・レコーディングス(Box Set/10CD)」以来20年振り。前回ペイジと共に作業を担当したのは米国スターリングサウンドのジョージ・マリノ(2012年没)。それまでのCDの音を一新する「決定盤」として、今でも充分聴取に耐えうる優れたリマスタリングだ。このマスターは2000年に発売された26曲入りの「ベスト・オブ・レッド・ツェッペリン ~リマスターズ(2CD)」や日本ワーナーのSHMヴァージョンのZEP再発CDに使われている。もしお持ちなら、無理に買い直さなくともよいくらい。
ただしデラックス・エディションに同梱されるコンパニオン・オーディオに本編を超える価値がある場合がある。今回の「IV」のコンパニオン・オーディオはその代表例だ。


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ダフト・パンク「Random Access Memories」をハイレゾで聴く
Daft Punk Pix (M)

今年のグラミー賞主要3部門を含む5部門を獲得した、ダフト・パンクの「ランダム・アクセス・メモリーズ(Random Access Mwmories)」を
HDtracksでダウンロード購入した。『なにをいまさら、エレクトロポップを、ありがたがってハイレゾで・・・?』という声が帰ってきそう。全て生音で録音というのが購入動機。いまどきポップの録音が全て生というのはありえない。しかもテクノで。
相当な覚悟と明確なコンセプトで制作されたアルバムだ。準備期間をいれると足掛け4年の歳月をかけ、100万ドル(1億円)という莫大な費用を投入して完成させた作品だという。

Daft Punk Grammy Award 2014
Daft Punk won six Grammy Awards
「RAM」をスピーカーで聴いてみた。一聴するとすごくソフトだが、ズンとくるドラムスとベースが、ウーファーを振るわせながらゆったりと出てくる。これこそがLP絶頂期のアナログ時代のリズム隊の音。ドラムスとベースの音が解け合って融合している。デジタル録音では音がなかなか解け合わず、ゴリゴリした弾力ばかり強いリズムになってしまう。
ヴォコーダーによるロボット・ヴォイスがなければ、70年代末〜80年代頭のディスコあるいはソウル、フュージョンといってもいいレトロモダンなサウンドがそこにある。
トーマとギ=マニュエルのダフト・パンクの二人が大変な労力をかけて目指した音楽とはなんだったのだろう。『Sound On Sound』の記事によると、音楽が細かいジャンルに分化する前の1900年代後期の偉大な作品をリファレンスにしたという。ピンク・フロイドの「狂気」、イーグルスの「ホテル・カルフォルニア」、フリート・ウッドマック「噂」など歴史的なレコードだ。アルバム・カバーの左上に黒の背景をバックに手書きで”Random Access Memories”とあるのは明らかにマイケル·ジャクソンの「スリラー」へのオマージュだ。

RAM_cover_artwork(S)


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「CSNY 1974」をハイレゾで聴く
CSNY Nightステージ

 クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングの1974年の再結成ライブ「CSNY 1974」を購入した。本作は3CD+DVD版、Blu-ray+DVD版、180グラム重量LP6枚組ボックスセット版、1CD(16曲入り)エッセンシャル版といった複数のヴァージョンが発売された。私が買ったのは、日本では発売されなかったBlu-ray Audio+DVD+ブックレット(180P)のセット。米国Rhino盤だ。アマゾン購入で6,030円。届くまで10日ほど待たされたが、 日本のワーナー盤が3CD+DVDの4枚組で7,560円なので、納得出来る範囲だ。同梱のDVDは8曲(43分)しか収録されておらず画質を考えてもオマケ扱いに留まっている。

CSNY1974 Cover Artwork

長年その存在が噂されていたものの発売されることの無かった1974年の伝説のサマー・ツアーのライブ。何度か発売予告がなされながらいつしかお蔵入り。ビーチ・ボーイズ『Smile』のような幻の作品の代表格となっていた。ハロンガスに守られ40年間眠りについていた2インチのマルチテープが先頃開封され、ミックスが完成した。メンバーの一人、ニール・ヤングのダメ出しでマスターの規格が192kHz/24bitに変更になったため、完成済み12曲(96/24収録部分)がオシャカになったという曰く付きの作品。Blu-ray Audioはマスターと同じPCM192kHz/24bitで音声が収録された。ちなみにニール・ヤングはアーチストとして活躍する傍ら、ハイレゾサービス・機器のPono(ポノ)を主催している。



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デープ・パープル「Made In Japan」をハイレゾで聴く(2)
Live In Japan gatefold sleeve
                                              Live In Japan Gatefold Sleeve
<Marshall PA>
当時の英国のロック・バンドの多くはマーシャルのアンプとマーシャルのPAスピーカーを使ってコンサートを行った。マーシャルは大規模な野外コンサートにも対応する大出力のPAも提供可能だった。ディープ・パープルもマーシャルのユーザー。リッチーは言うまでも無くマーシャルだが、キーボードのジョン・ロードも、当時はリッチーに対抗するため、マーシャルを使用していた。ベースのロジャー・グローバーも当然マーシャル。イアン・ペイスのドラムの横にはホーンを使った大型のPAスピーカーが並ぶ。切れ目無く同じ密度でサウンドの壁を作れたわけだ。
Marshall PAチラシ
Marshall 400W PAのパンフレット

来日時バンドは7月に完成したばかりの新しいマーシャルのPAミキサーをロンドンから運んできた。新しい卓は16ch。それまでの12chのミキサー卓に比べ、格段にクリアーな音を届けることが可能となった。他のマーシャルの機材とともに同社が日本に派遣したのがKen Flegg氏。新ミキサーを開発した技術者でもある。一行に同行した氏が語る録音秘話がディープ・パープルのファン組織DPAS(Deep Purple Appriciation Society)のファンジン”Darker Than Blue”に掲載された。投稿者はDPASを主催するデープ・パープル研究家として知られるサイモン・ロビンソン。最近の彼の著作「Wait For The Ricochet」(Deep Purple"In Rock" album物語)のためにFlegg氏から書面で提供を受けた来日時の情報を了解を得て転載したもの。

Darker Than Blue

Recording Made In Japan」には新ミキサー卓の話とともにジャパン・ツアーの日程も語られ、前述の大阪の会場が大阪厚生年金会館であったこと、日本でミックスダウンが行われた事も書かれている。
バンドの日程を整理すると
[Deep Purple Japan Tour]
1972年8月12日 Deep Purple ヒースロー発
1972年8月13日 Deep Purple 羽田着
1972年8月15日〜8月17日 大阪・東京公演
1972年8月17日〜8月20日 ミックスダウン
1972年8月21日 Deep Purple 一行離日
1972年8月20日 Deep Purple 一行 JFK着
1972年8月24日 Ken Flegg、Martin Birch ヒースロー着
完成したマスターテープは米国経由でロンドンに持ち帰られている。
ここでサイモン・ロビンソン氏について補足すると、1972年の3日間の演奏曲目全てを3CDにまとめる企画をEMIに提案。これは1993年の3枚組CD「LIVE IN JAPAN - 21st ANNIVERSARY」として製品化された。マルチマスターが日本にある事をつきとめたのも彼。最近までディープ・パープルのテープ保管・管理者の役割を公式に努めていた。


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デープ・パープル「Made In Japan」をハイレゾで聴く(1)
Med In Japan cover photo

ディープ・パープル「Made In Japan(邦題:Live In Japan)」
(1972年制作)が7形態で再発された。”ロック史上最高のライブ・アルバム”の名を欲しいままにしたレコーディング。スタジオ録音をも凌駕するその演奏はライブ盤の魅力を世界中に知らしめた。コンサート会場の武道館の名を世界に広めた事も忘れられない。ちなみに筆者はその武道館コンサートを72年にリアルタイムで楽しんだ一人である。
2枚組LP「ライブ・イン・ジャパン」は持っている。しかしアナログ盤は田舎(鹿沼)に疎開中。iTunes Libraryに加わえるため「Made In Japan」(96kHz/24bit)のハイレゾ音源をダウンロードした。

日本が5月28日発売、海外では5月19日だった。形態ごとの収録内容(リマスター、リミックス、収録曲、収録日等)の違いがややっこしく、Box Setなどの特典カードでダウンロード可能な音源の詳細などが曖昧。発表(2月末)と実物の商品(5月)にズレがあったため、WEBの情報も混乱していた。今回筆者自身もハイレゾ音源購入のために、「ダウンロード」(HDtracks、e-onkyoなど)と「Pure Audio」(Blu-ray Audio盤)の内容の違いをネットで比較・検討した。サイトによってダウンロードの内容に違いがある事、英国からは米国のHDtracksで「Made In Japan」購入が不可能な事。旧EMIとWarner Brosの販売テリトリの線引に起因する制限を目の当たりにすることが出来た。

Deep Purple 1972 (color)
                                        Deep Purple 1972年

検索をするなかで、「メイド・イン・ジャパン」関連の興味深い情報にも遭遇した。あとで詳述するが、その骨子だけ披露する。
■ 大阪公演の会場は両日(8月15、16日)とも大阪厚生年金会館(現大阪オリックス劇場)。バンド側の事情で来日が延期(5月→8月)されたが、延期前の会場は大阪フェス。以前から指摘があったが、これが混乱のもとになったようだ。
ライブレコーディングに関しても次の情報が明らかになった。
■ ミックスダウンは公演終了直後、東京で行われた。
■ マスターは一行と共に来日したマーティン・バーチが持ち帰った。
■ マルチマスターは日本で保管された。



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ピンク・フロイド「対(The Division Bell)」をハイレゾで聴く
Division Bell PKG

危うく見過ごすところだった。レッド・ツェッペリンに続いてピンク・フロイドのハイレゾ・ダウンロードが開始されたのだ。7月2日のHDtracksからのメールが無かったら知らないままだったかもしれない。
「独立記念日(インディペンデンス・デイ)セールのお知らせ」-「7月4日の独立記念日まで全商品15%ディスカウント」とある。トップを飾るアメリカ国旗の下に見覚えのあるジャケットがレイアウトされている。石像が対になったデザイン。ひょっとしてこれはピンク・フロイド。クリックしてリンクを開くと間違いなくピンク・フロイド最後のスタジオ作品「The Division Bell」(1994年)だった。
発売20年周年のBoxセット「The Division Bell 20th Deluxe Box / 対(TSUI)」の告知は前から見ていたし、7枚のディスクのうちBlu-ray Discには96kHz/24bitの音源(Stereo及び5.1ch)が含まれる事も知っていた。しかし発売と同時にハイレゾのダウンロードが解禁されるとは思わなかった。ダウンロード販売された音源はBlu-ray Discに収録されるものと異なり、2枚組アナログLPに用いられたダグ・サックス(Mastering Lab)による2014年の新マスタリングが使われている。

Pink Floyd SACD Discs 02
Hybrid SACD「狂気」     Hybrid SACD「炎」

ピンク・フロイドの場合レッド・ツェッペリンと違いハイレゾ商品を全く出さなかったわけではない。EMI時代の2003年には「狂気」、2011年に「炎」がSACDのHybrid盤で出ている。ピンク・フロイドと契約を更新したEMIが2011年から2012年にかけて行った『Why Pink Floyd...?』キャンペーンでは、スタジオ録音14作のCDが入ったボックス・セット”Discovery”の発売と共に、”Immersion Edition”と銘打って「狂気」、「炎」、「ザ・ウォール」をボックス・セットでそれぞれ発売した。「狂気」、「炎」にはアウトテイクスとともに、ステレオ、5.1chミックスのハイレゾ録音が収録されたBlu-ray Discが収められた。
いずれにしてもEMIはトップアーチストの音源はパッケージで販売するという方針を崩さなかった。(2枚のBlu-ray Discに収められたハイレゾ音源の詳細は後述。)
Pink Floyd Discovery Box
Pink Floyd Discovery Box Set (CD X 16)

EMI解体後、Parlophoneがワーナーミュージックに移管され、ハイレゾ音源の取扱いが変わったようだ。ダウンロード・カードが同梱される場合は、同じ内容のファイルを一般販売するという、レッド・ツェッペリンでとられたルールが踏襲されている。
今回音源ファイル(96kHz/24bit)を販売するのは米国のHDtracks(テリトリ制限無し)とドイツのHIGHRESAUDIO(制限有、FLACのみの販売)の2社に限られ、フランスのQoubuzや日本のe-onkyoは含まれていない。


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「Led Zeppelin I(Deluxe Edition)」をハイレゾで聴く
Zep Remastered DX 2014

6月4日、HDtracksからクーポン(10%割引)がメールで届いた。メールの画面からHDtracksのサイトに飛び、発売になったばかりの「Led Zeppelin I(DELUXE EDITION)」をダウンロード購入した。
「レッド・ツェッペリン 2014リマスター」3作品から『I』を選択した理由をまず述べておこう。
1) レッド・ツェッペリン作品の中で最古のマスター(1968年録音)
45年も経った1/4インチのアナログマスターが本当にハイレゾ・リマスタリングに耐えらる状態だったか。ジミー・ペイジはスタジオ9作品のオリジナルマスターは奇跡的な保存状態だったと述べているが、残りマスターの状態を占う意味でも真っ先に聴きたい。

Led Zeppelin 03 (S)

2) ツェッペリン・サウンドの原点(オリンピック・スタジオ)
1968年11月録音。オリンピック・スタジオは当時アビーロードと並ぶ英国のトップスタジオだった。後に”HELIOS”の名前で販売されたカスタムメイドのミキシング・コンソールはその独特のサウンド(中高域)で人気が高かった。ツェッペリンが頻繁に利用したストーンズの録音車も、ジミー・ペイジが好んで使ったアイランド・スタジオも実は調整卓は”HELIOS”ミキシング・コンソールを使っている。
録音を担当したエンジニア、グリン・ジョーンズ(Glyn Johns)も原点の一つ。ストーンズ「Get Yar YaーYa's Out」や「Let It Bleed」、フェイセス「馬の耳に念仏」、フー「Who's Next」、クラプトン「Slowhand」など最も英国サウンドらしい音を録るミキサー。彼はこの作業が終った翌年1月からビートルズの「Get Back」セッションに携わり一躍時の人となる。
『II』以降の録音はジミヘンのエレクトリック・レディランドのエンジニア、エディ・クレーマー(Edwin Kramer)が継ぎ、さらにエディとグリン両者の指導を受けたグリンの弟、アンディ・ジョーンズ(Andy Johns)がツェッペリン・サウンドを継承していく。ちなみにジミー・ペイジはこのスタジオでグリンからマルチ録音の手ほどきを受けている。

Page and Glyn Johns
Page with Glyn Johns at Olympic Studios 1968

3) コンパニオン: 「パリ・ライブ(1969年)」
コンパニオン・オーディオは1969年10月、パリのオリンピア劇場のライブ(70分強をほぼフル収録)。『II』と『III』のコンパニオンはスタジオ録音のアウトテイクや別ミックス、未発表トラックなどで構成している。ライブが付くのは今回『I』のみ。このパリ・ライブは丁度『II』の発売にタイミングを合わせたコンサート。世界を震撼させたレッド・ツェッペリンがその全貌を見せた瞬間だ。若きロバート・プラントのハイトーン・ボイス。弾きまくるジミー・ペイジ。最も勢いのある時期の幻のライブ録音。2007年12月(ツェッペリン再結成コンサートとほぼ同時期)にマスターが発見されファンの間で話題になった。放送録音のモノラル音源のため48kHz/24bit。発掘の経緯は後述。


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レッド・ツェッペリン 2014リマスター
Zep aircraft img

ロックの時代だった20世紀後半のミュージック・シーンを牽引したバンドの頂点に立つのがレッド・ゼッペリン。 ブログ記事『「祭典の日」をBlu-rayでみる』でも触れておいた「ジミー・ペイジはスタジオ9作品のデジタル・マスタリングを終えた...」(2014年1月31日追記)の後日談。今年3月にその発売計画が発表され、初期アルバム3作(1969年-1970年)がいよいよ6月4日に登場する。3作品にはそれぞれ未発表スタジオ音源や膨大なライブ・テイクのストックから選りすぐった秘蔵トラックで編纂した“コンパニオン・ディスク(お友達ディスク)”がペアリングされる。残りの6作品(オリジナル・アルバム)も時代順にリリースされる予定だ。

<レッド・ツェッペリンとハイレゾ>
Led Zeppelin & Jimy Page

彼等のオリジナル9作品のうちこれまでSACDやDVD-Audioで発売された作品は皆無。CD超のクオリティを持つハイレゾ音源は、現時点では2012年11月に発売された「祭典の日/Celebration Day」のBlu-ray/DVDによる映像作品のサウンドトラック(48kHz/24bit)しかない。
今回の発表では“コンパニオン”を含め、全てのトラックが96kHz/24bitのハイレゾ・ファイルでダウンロード販売される(一部除く)。ダウンロードがスタジオ作品では初のハイレゾ・リリースとなる。ファンの期待は大きい。


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